GOTHを読み終わった。
これまで読んだ乙一の作品の中では一番エンターテイメントを感じた。とりあえず主人公のキャラが立っていて好感が持てる。
あとがきで、「GOTHはせつなさが感じられないといわれて、ダメかと思った」という風なことがかかれているが、そんなことないのではないかと思う。いままでのとはちょっと違うせつなさだけど。たとえば「犬」。素直に「僕」について来る犬や、たどたどしい字で書かれた手紙にせつなさを感じたけど、普通は感じないのだろうか?
あとがきで、「いままで僕は人間の復活を好んで書いたが今回はミステリを書こうとして書いた」という風なことがかかれているが、しっかり人間(主人公たちの)の復活は描かれているし、悪いけど、ミステリとしてはどうかと思う。本人も言っているが、ミステリ作家ではないのだから無理をしないほうが良いと思う。
若干中だるみな部分はあったが、総じて楽しく読めた。昔、「SFベストセラーズ(※1)」っていうのがあったが、「猟奇ベストセラーズ」とか作ったらこんな感じなのかなぁと思った。
「エンターテイメントを感じた」とは書いたが、書籍以外のメディアへの展開は考えづらい。とくに小説的心理トリックが大部分を占める「犬」や「土」や「声」は映像化できないはずだ。ちょっと惜しいと思った。映像化できたら「少年猟奇ドラマシリーズ」にできたのに。
※1 SFベストセラーズ - 夕ばえ作戦/光瀬龍、リュイテン太陽/福島正実、時をかける少女/筒井康隆、なぞの転校生/眉村卓、時間砲計画/豊田有恒、人類のあけぼの号/内田庶、ねじれた町/眉村卓、明日への追跡/光瀬龍、等の日本SFの金字塔を打ち立てた(笑)。炎の転校生/島本和彦は関係ない。
最近のコメント